
鉄欠乏性貧血の原因
読んで字のごとく、鉄が足りていない状態です。
鉄欠乏性貧血の原因としていくつか例を挙げてみましょう。
- 偏食などにより必要な鉄が摂取できていない
- 女性の生理や、消化管からの出血などにより鉄が失われる
- 妊娠による必要な鉄量の増加
- 胃切除による鉄吸収の低下
近年圧倒的に多いのは女性、それも10代から20代の若い世代の女性です。
生理による出血に加え、食生活の偏りが拍車をかけているようです。
鉄欠乏性貧血の治療薬
鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足して起こる貧血です。
血液の成分であるヘモグロビンは鉄を主体として体内で生産いるため、何らかの原因で鉄が少なくなると貧血症状を引き起こします。
そのため、治療としては鉄を補充する方法がとられます。
治療薬としてのインクレミンシロップ

鉄を補充する治療薬としては、医薬品として『フェルム』、『フェロミア』、『フェロ・グラデュメット』などが挙げられます。
インクレミンシロップもその一つで、錠剤や粉が飲みにくい子どもにしばしば使われる薬です。
インクレミンシロップの用量としてはこんな感じですね。
年齢 | シロップとして (mL) | 溶性ピロリン酸 第二鉄として(mg) | 鉄として (mg) |
1歳未満 | 2〜4 | 100〜200 | 12〜24 |
1〜5歳 | 3〜10 | 150〜500 | 18〜60 |
6〜15歳 | 10〜15 | 500〜750 | 60〜90 |
1歳未満とかそんな年齢でも貧血になるの?と思われるかもしれませんが、体内に必要な鉄が不足していれば年齢関係なく起こり得ます。
新生児の鉄欠乏性貧血
赤ちゃんはお腹の中にいるときは、お母さんからへその緒を通じて必要な栄養をもらっています。
当然、この中には鉄も含まれるので、お腹の中で貧血になることはまずありません。お母さんが貧血になっているかもしれませんが。
そして生まれてからは鉄は母乳に含まれるため、そこから必要な量は摂取しています。
しかし、離乳食開始後は飲む母乳の量も減ってきます。減った母乳を補うだけの鉄を離乳食から摂取できずにいると、体内の鉄が徐々に減っていくこととなります。
そのため、生後8か月くらいから鉄欠乏性貧血が起こってくることが多いと言われています。
乳児の鉄欠乏性貧血の割合は沖縄の調査で、母乳栄養のみであった場合は33%、ミルクとの混合栄養は10%、ミルクのみでは18%という結果も出ています。
離乳食はレバーや赤身の魚など、鉄を多く含む食品を使うことで予防ができるとも考えられています。
インクレミンシロップで歯が黒くなる?
『鉄を摂取するときはお茶は一緒に飲んではいけない』
こんなことを聞いたことがある方もいるかもしれません。
これは鉄がお茶の渋みであるタンニン酸と結合して吸収されにくくなってしまうためです。
ただし鉄が不足している鉄欠乏の状態であれば、いつも以上に鉄の吸収率が上がっているため治療には影響しないと言われていますので、タンニン酸のことはそれほど気にする必要はありません。
ですが、服用後にお茶を飲むとタンニン酸と結合して、歯が着色することになっていまうため注意が必要です。
また、バナナにもタンニンが含まれているようでバナナを食べた後にも注意が必要です。
他の鉄剤の添付文書にも同様に歯の着色に関する記載はありますが、他はカプセル・錠剤であったり、顆粒剤であったりするため、万遍なく広がるインクレミンシロップが最も影響を受けやすいと考えられます。
歯が黒くなってしまったら
仮に気を付けていたにも関わらず着色してしまっても焦らないでください。
歯の表面への沈着のため、磨けば落ちます。
もし落ちにくい場合は重曹(炭酸水素ナトリウム)を付けて磨くようにしましょう。