薬剤師のチラシ裏

インフルエンザにおすすめの漢方や咳止め、解熱剤を薬剤師が紹介。大人用から子供用までAmazonで買える市販薬

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咳止めがありません

咳止めがありません。

調剤薬局に勤務している筆者の薬局では、週に1回100錠入荷するかどうかといったところです。当然咳止めのメーカーが指定できるわけもなく、入荷すれば御の字という具合。

『どうなってんの!?』

最近では咳止めだけではなく、カロナールやロキソニンといった解熱剤も入荷しなくなってきました。

2022年はカロナールやロキソニンだけだったのが、今年はメジコンやアスベリンといった咳止めに加えて、タミフルドライシロップまで軒並み在庫なしの状況です。

Amazonやドラッグストアには薬が売ってる!

【第2類医薬品】メジコンせき止め錠Pro タブレット 20錠

医療用と全く同じ名前で登場したのは、みんな大好きメジコンです!『デキストロメトルファン』という名前で出されることもあります。病院でもらう薬と同じ成分なので効果は期待できますね。

週に1回入荷されるかどうかの薬で、入荷されてもすぐに処方で出ていくのが現状です。

例えば、「1回1錠1日3回5日分で出しておきます」と言われたら、15錠が必要になります。1箱100錠入りなら6人分で90錠、となると残りは10錠しかありません。

入荷される日は薬局でも分からず、入荷されてから何人患者さんにメジコンが出されるかも分かりません。病院に行って、この薬をもらえたらかなりラッキーと言っても過言ではありません。

【第2類医薬品】ツムラ漢方麻黄湯エキス顆粒

【第2類医薬品】ツムラ漢方麻黄湯エキス顆粒 20包 (Amazonより出典)

インフルエンザと診断されてこの薬を処方された方もおられるのではないでしょうか。

この漢方を飲むことで体温を上げて免疫力を高める効果、インフルエンザウイルスの増殖を抑える作用、炎症を抑える作用が期待できます。

タミフルやイナビルなどのいわゆる抗インフルエンザ薬と呼ばれるものはすべて処方せんが必要です。病院に受診して、検査して、処方せん出してもらって、薬局で薬を出してもらって…という流れが必要なんですよね。

ちなみに麻黄湯がタミフルと比べてどれだけ有用かを比較したデータが以下の通りです。

タミフル代わりに使える漢方薬か:日経メディカルより引用

症例数はかなり少ないですが、タミフルより効果ありそうな気がしませんか?

仮に院内処方だとしてもしんどい思いをしながら受診して、結局もらえる薬は同じものという可能性も。

受診する時間的、体力的、金銭的負担を考えたらこれだけで済むとかコスパ最高。

というわけで私が常備している薬がこれなんですね。長期休みに入る前に自宅の在庫確認だけはしっかりしておきましょう。

粉が苦手な人は下のリンクから錠剤タイプの麻黄湯を購入できます。

医療用の麻黄湯の添付文書を下に貼っておきます。

項目の番号でいうと4番に『効能又は効果』という項目があり、そこにインフルエンザの記載があります。

医療用医薬品に関しては体重30kgを成人とみなして小児用量として調整することが多々あります。
乳児の鼻閉とかに使うときの目安ですね。

麻黄湯を飲むタイミング

からだを温める漢方なので、発熱が終わっていない初期に飲みます。

具体的には体のふしぶしが痛くなって、寒気が出てきたときですね。

逆に発熱して汗をかいているようなタイミングではすでに遅いです。むしろこういった発汗タイミングで飲むと体調を崩してしまう可能性もあるので飲まないようにしてください。

副作用の話をしておくと、麻黄に含まれるエフェドリンでちょっと心臓がドキドキすることがあるかもしれません。

常備しておく・買っておくべき麻黄湯の量ですが、熱が上がりきるまでの期間なので、人によっては3包(1日分)、多くても6包(2日分)あれば十分だと思います。余談ですが、インフルエンザの方に麻黄湯5日分とか処方されている方がいます。そんなに寒気のある日が続くことはまずないので全部飲む必要はありません。

インフルエンザのときに使える解熱剤

上で紹介している麻黄湯でインフルエンザのしんどい時間が短縮されますが、やっぱり39℃とか超えるような高熱が出るとしんどいものです。

免疫力が最も上昇するのが38度台ですが、39℃を超えてくると食欲が低下し、ヘタすると水分を摂る気力もありません。というか、しんど過ぎて寝てられない。

解熱剤はそういったときに少し体の負担を軽くするために使うと良いでしょう。平熱まで下げる必要はありませんよ?

さて、ロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)が解熱剤としては有名ですが、元々15歳未満に使うことはあまりありません。

同じNSAIDS(読み方:エヌセイズ)に分類されるボルタレン(成分名:ジクロフェナク)、ポンタール(メフェナム酸)はインフルエンザ脳症に使用した場合の重症化リスクが上昇することがあり小児には原則使用できないこととなっています。

ロキソニンの添付文書にはそういった記載はありませんが、同じNSAIDSに分類されるため避けた方が無難でしょう。

そして、ロキソニンよりも副作用が少ない薬として、カロナールやアセトアミノフェンという薬が薬局でも販売されています。

この『アセトアミノフェン』、インフルエンザ罹患時だけでなく、新型コロナウイルスのワクチン接種後の頭痛、発熱、倦怠感に対しても安全に使うことができる薬として使用が推奨されています。

カロナール錠(アセトアミノフェン)

成分名アセトアミノフェン(添付文書)
効能・効果解熱・鎮痛
医療用の販売規格錠剤(200・300・500mg)

カロナールが有名ですが、コカール錠という名前でも販売されていた時期があります。成人で解熱鎮痛で使用する場合、アセトアミノフェンとして300~500mgの間で使用するように添付文書に記載されています。

現在はアセトアミノフェン錠に統一されつつありますので、そのうちカロナールという名称も無くなるかもしれません。

薬の特徴としては発売されてからの使用経験が長く、小児や妊婦、授乳婦の解熱鎮痛剤としての第一選択とされるなど安全性が高い点が挙げられます。

胃腸障害が見られにくく、空腹時の服用も問題ありません。

他剤との相互作用もほぼないため、使いやすい薬と言えます。

しかしながら極まれに肝機能障害を起こす可能性が示唆されていますので、この点には注意が必要です。

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市販薬でアセトアミノフェン単独処方の商品

カロナール錠は医療用のため一般の販売はされていませんでしたが、同じ名前で販売が開始されています。

その成分であるアセトアミノフェンに関しては規制のある成分ではないため、『アセトアミノフェン』という成分名を商品名にしている医薬品もあります。

市販薬を選ぶときはパッケージ裏の成分名に『アセトアミノフェン』のみが記載されている製品を選ぶと安心できるかと思います。添加物については薬の効能効果に影響を与えませんのでサラッと流し読みで良いでしょう。