インフルエンザの治療薬何選ぶ?
インフルエンザの流行の時期は?
インフルエンザは、一般的に冬季に流行する傾向があります。これは、寒冷な気候がウイルスの感染力を高め、人々が密集して過ごす屋内空間での感染が多くなるためです。
具体的には、北半球では10月から始まり、ピークは1月から2月にかけてであり、その後3月から4月にかけて徐々に減少していきます。南半球では、この時期が逆転し、流行期は6月から8月にかけてです。
ただし、これらの期間はあくまで一般的な傾向であり、地域によって異なることがあります。また、インフルエンザの流行にはさまざまな要因が影響し、年によって流行時期や重症度が異なることがあります。
したがって、感染予防をするためには、定期的に医療機関の情報や保健当局の情報を確認することが重要です。また、手洗いやマスクの着用など、感染予防の基本的な方法を実践することも大切です。
治療薬の選び方は?
インフルエンザの治療薬としては3種類に分けられます。
- ノイラミニダーゼ阻害薬:タミフル、リレンザやイナビルなどがあります。これらの薬剤は、ウイルスが細胞から出るのを妨げることで、ウイルスの増殖を抑えます。症状の改善が早く、治療期間が短いことが特徴です。
- アダマンタン系薬剤:アマンタジンがあります。この薬剤は、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐことで、ウイルスの増殖を抑えます。タミフルが発売されるまではしばしば使われていましたが、最近のインフルエンザウイルスには効果がないため、現在はあまり使用されません。
- エンドヌクレアーゼ阻害薬:ゾフルーザという薬がこれに該当します。従来のノイラミニダーゼ阻害薬と異なり、タミフルなどが効かなかったタイプのインフルエンザにも効果があると言われています。
その他、漢方薬では麻黄湯や麻黄附子細辛湯、葛根湯などが使われることがありますが、現在主に使われているのは1のノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる医薬品です。西洋系の薬に抵抗がある場合などは漢方を選ぶことも多いですね。
タミフル(オセルタミビル)
タミフルは、インフルエンザの治療に使用されるノイラミニダーゼ阻害薬の1つです。有効成分はオセルタミビルリン酸エステルで、ウイルスのノイラミニダーゼという酵素を阻害することによって、ウイルスの増殖を抑える作用があります。
タミフルは、症状が出始めて48時間以内に投与することが推奨されています。通常、1日2回、5日間服用します。治療期間中は、医師の指示に従って正確に服用することが重要です。また、副作用として吐き気、嘔吐、下痢などが報告されていますが、ほとんどの場合は軽度です。
カプセル剤とドライシロップ(粉薬)の2種類が販売されており、幅広い年齢に対応することができます。
インフルエンザが爆発的に流行する度にタミフルドライシロップが枯渇します。直近では2023年~2024年にかけてタミフルドライシロップが入荷されず、タミフルカプセルを脱カプセルして対応していました。
インフルエンザ感染予防でタミフルを使う
タミフルは、予防的にも使用されます。例えば、家族の中でインフルエンザにかかった人がいた場合、その他の家族もタミフルを服用することで、感染を予防することができます。ただし、予防的な使用においては、効果や副作用のリスクなどを考慮して、医師に相談する必要があります。予防する場合は1日1回10日間の服用となり、自費での処方となります。
タミフルによる異常行動は大丈夫?
タミフルによる異常行動として、幻覚や錯乱、不安、興奮、自傷行為、暴力的行動などが報告されています。これらの症状は非常にまれであり、発生頻度は低いとされていますが、重篤な症状となる場合があります。2018年までは10代の患者への使用は制限されていましたが、現在はそのような制限はありません。
これらの異常行動は、主に小児や思春期の患者に起こることが多いとされています。特にインフルエンザから発症の2日以内の高熱時に起こることが多く、タミフルとの因果関係は不明とされています。異常行動が起こった場合は、通常は治療を中止することで症状が改善することが多いとされています。
なお、タミフルによる異常行動は非常にまれな副作用であり、ほとんどの患者が安全にタミフルを使用できます。しかし、副作用に関する情報を理解し、治療中に異常な症状が現れた場合は、速やかに医師に相談することが重要です。
妊娠中、授乳中のタミフルは大丈夫?
タミフルは現在使用されているノイラミニダーゼ阻害薬の中では最も古く、歴史のある薬です。使用事例が多数あり、情報も豊富にあるため様々なデータを得ることができます。添付文書においては妊娠中、授乳中の投与に関しては有益性投与という区分になっていますが、妊娠中や授乳中でもタミフルの服用は問題ないとされています。
ゾフルーザ
ゾフルーザは、インフルエンザの治療に使用される薬剤の一つで、有効成分はバロキサビルマルボキシルという成分です。ゾフルーザは、インフルエンザウイルスの新しいタイプにも効果的であるとされています。
ゾフルーザは、1回の服用で治療が完了する一回投与型の薬剤です。感染から48時間、つまり2日以内に1回、口から錠剤を服用します。治療期間中に副作用として下痢、嘔吐、頭痛などが報告されていますが、ほとんどの場合は軽度であり、重篤な副作用は報告されていません。
ただし、ゾフルーザは効果的な治療薬である一方で、使用するためには医師の処方が必要であり、適切な使用が求められます。また、治療には早期の投与が重要であるため、症状が現れたら速やかに医師に相談することが重要です。
インフルエンザ感染予防でゾフルーザを使う
ゾフルーザは、予防的にも使用されます。例えば、家族の中でインフルエンザにかかった人がいた場合、その他の家族もゾフルーザを服用することで、感染を予防することができます。ただし、予防的な使用においては、効果や副作用のリスクなどを考慮して、医師に相談する必要があります。予防する場合は1日1回の服用となり、自費での処方となります。服用から10日以内であれば予防効果が期待できます。
妊娠中、授乳中のゾフルーザは大丈夫?
ソフルーザにおいては催奇形性は認められず、母乳中への移行も少ないので問題となることは無いと考えられますが、発売が2018年と歴史が浅く、使用経験が他の薬剤と比べると少ないため積極的な使用は控えた方が良さそうです。添付文書においても妊娠中、授乳中の投与に関しては有益性投与という区分になっています。
リレンザ
「リレンザ」とは、インフルエンザウイルスに感染した場合に使用される抗ウイルス薬の一種です。主成分はザナミビルであり、ウイルスの増殖を抑制することで症状の改善や治療を行うことができます。
リレンザは、口から吸入する形で使用されます。治療開始は、症状が現れてから48時間以内に行うことが推奨されています。1日2回、1回2ブリスターの吸入がインフルエンザ治療に対する使用方法です。これは年齢や体重などによらず同一です。
副作用として、吐き気や下痢、頭痛、めまいなどが報告されていますが、重篤な副作用は比較的少ないとされています。
吸入した方ならご存じかと思いますが、リレンザはやや甘味があるので子どもでも抵抗なく使うことができます。後述のイナビルはやや苦味があるため、子どもが嫌がるケースにしばしば遭遇します。
インフルエンザ感染予防でリレンザを使う
リレンザは、予防的にも使用されます。例えば、家族の中でインフルエンザにかかった人がいた場合、その他の家族もリレンザを吸入することで、感染を予防することができます。ただし、予防的な使用においては、効果や副作用のリスクなどを考慮して、医師に相談する必要があります。予防する場合は1日1回2ブリスタを10日間の吸入となり、自費での処方となります。
妊娠中、授乳中のリレンザは大丈夫?
リレンザは現在使用されているノイラミニダーゼ阻害薬の中では2番目に古く、歴史のある薬です。使用事例が多数あり、情報も豊富にあるため様々なデータを得ることができます。添付文書においては妊娠中、授乳中の投与に関しては有益性投与という区分になっていますが、妊娠中や授乳中でもリレンザの使用は問題ないとされています。
イナビル
イナビル(一般名: ラニナミビルオクタン酸塩)は、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス薬です。イナビルは、ウイルスが細胞内で増殖する際に重要な働きを持つウイルス表面の酵素であるノイラミニダーゼを阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑え、症状を緩和します。
イナビルは、インフルエンザの初期症状が現れてから48時間以内に投与することが効果的です。通常、成人や小児には、1回の吸入で治療が完了します。症状が重い場合や、効果が不十分な場合は、医師の指示に従って別の治療が行われることもあります。
インフルエンザ感染予防でイナビルを使う
イナビルは、インフルエンザの予防にも使用されます。家族や同居者など、密接な接触者がインフルエンザに感染した場合、感染リスクが高まるため、予防的にイナビルを投与することがあります。通常、予防的に使用する場合は、成人や小児に1回の吸入(20mg)を週に1回、2週間程度行います。
妊娠、授乳中のイナビルは大丈夫?
妊娠中や授乳中の女性がイナビルを使用する場合、医師と相談し、利益とリスクを十分に検討することが重要です。動物実験においては、胎児への影響は確認されていませんが、人間におけるデータは十分にはありません。授乳中の女性がイナビルを使用する場合、乳児への影響はほとんどないとされていますが、念のため医師と相談してください。
イナビルには乳糖が含まれています
リレンザもそうですが、イナビルには乳糖が含まれています。かさを増すことで均一な効果を期待するために添加されています。ただ、リレンザに比べてイナビルの方がやや乳糖の量は多めとなっています。これにより、乳糖による咽頭への刺激となる場合や、極稀に牛乳アレルギー児が過敏反応を生じた例も報告されているので使用する際は注意が必要です。