令和元年5月22日薬価収載品目
これとは別に再生医療等製品としてキムリア(一般名チサゲンレクルユーセル)が薬価収載されました。難治性の白血病やリンパ腫に対して使用される薬です。
患者自身の免疫細胞を用いて作られる薬であり、いわゆるオーダーメイド治療にあたる薬ですね。
キムリアの価格設定
このキムリア、時々ニュースでも見かけたことがあるかもしれませんが、算定薬価は3,349万3,407円(患者1人当たり)という超高額医薬品です。
ノバルティスファーマが海外で発売していますが、アメリカでは約5200万というさらに高額の設定となっています。ただし、これは投与した患者に効果があった場合にのみ発生する成功報酬型の料金となっています。
尚、日本では皆保険制度の元に効果の有無に関わらず請求が発生します。
日本で使うとなるとどのくらいの金額になるの?
製薬会社の調べによると、日本でのキムリアの適用となる患者数は約260名とのことです。
日本での皆保険制度、また高額療養費の多数該当が適用となった場合には収入にもよりますが本人の負担は44,400円で済むことが多いと考えられます。
医療保険からの持ち出しは1回当たりの薬剤料のみで
3,349万3,407円(キムリア)-4万4,400円=3,344万9,007円
となります。
仮に対象の患者260名に使用した場合、
3,344万9,007円×260名=86億9,674万1,820円
となります。
国民医療費を見てみる
平成28年度の国民医療費は総額421,381億円、一人当たりの医療費は33万2,000円となっています。
キムリアを対象の患者さんに使用したとすると、国民医療費が0.02%上がる程度ですね。
また、キムリア1回分に100人分の医療費が充てられる計算となります。
260人分だと26000人分でしょうか。
皆保険制度が続けられるかちょっと不安
少し前のソバルディやオプジーボもそうでしたが、最近は高額な薬剤がしばしば発売されるようになりました。
今までの治療薬では効果が無く、新しい薬に希望を持っている患者さんが確かに居ます。
また、その対象となる患者数が少ないこともあって、単価を上げないと製薬会社の開発費用が回収できないという側面も理解できます。
しかし、超高齢化社会に突入している日本においては医療費は毎年のように上がっていく一方です。
今のままでは国民皆保険制度自体が破綻することもあるかもしれません。
高齢者に負担をお願いするなど、新しい財源を確保すべき時がきているのかもしれませんね。