一世を風靡したとも言えるグルコサミン、誰しも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
今でも各社から健康食品、サプリメントとして販売されているにも関わらず、病院でグルコサミンを処方された方はいません。
グルコサミンとは
動物においては、アミノ基がアセチル化されたN-アセチルグルコサミンの形で、糖タンパク質、ヒアルロン酸などグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の成分となっている。
wikipediaより引用
グルコサミンの立ち位置としてはこんな感じです。
軟骨は年齢とともに減少し、膝の痛みが出てくるというのは事実です。そして、その軟骨はグルコサミンやヒアルロン酸で構成されているというのも事実です。
かと言って、それらを口から摂取すると本当に軟骨成分が増えるのでしょうか。
グルコサミンの研究結果が出ています
最近の研究として、2018年6月のメタ分析は無作為化比較試験26件から、コンドロイチンでは偽薬を上回る剛性改善と鎮痛作用、グルコサミンでは剛性改善能見が見られたが、研究数が限られている両者の併用では偽薬を上回らなかったとしたようです。
ちなみに偽薬というのはいわゆるプラセボのことで、グルコサミンを含んだ薬と、何も含まない薬のどちらを渡しているか本人には伝えずに投与して、先入観抜きでその有効性を確認しています。
尚、これは二重盲検試験(ダブルブラインドテスト)といって、投与する側(医師など)でもどちらを投与したか分からないようにする試験となっています。
結果は上記の様に効果の差異は見られず、グルコサミンは関節への効果は無いと考えられます。
最近は低分子化されたヒアルロン酸の健康食品も発売されています。
この『低分子化』というのが重要なポイントのようで、従来のヒアルロン酸は大きすぎるために吸収されず、効果が無いとされてきました。
ただ、低分子化されたヒアルロン酸の摂取では、効果が見られたとの報告もあり、今後の行く先に興味があります。
今までの考え方でいくと、ヒアルロン酸はグルコサミンを成分としており、同様に内服での効果は無いと思われます。ただ、もしかすると、口から摂取して、消化吸収を行う過程において、体内でのヒアルロン酸合成で材料が豊富にある状態は悪くはないので、もしかすると長期的に見た場合の有用性が出る可能性もあるかも?
いや、その作られたヒアルロン酸が目的の部位へ到達するかどうかも問題か…
そういった問題があるので、関節腔内へのヒアルロン酸の注射は効果があるんでしょうね。
新しい問題の発生
ただ、ここで問題となるのが、効かないという事実を現在飲んでおられる方へ伝えるかどうかということです。
当人たちは、当然「効く」と思って飲んでいるわけで、この自己暗示によって日々の活力を得ている可能性もあるわけです。
その状態へ「あなたの飲んでいるものは効果がありませんよ」と伝えるとどうなるか。
服用されているのは、お年寄りであったり最近で言うところの情報弱者であることが多いと考えられます。
「効かないと聞いてから痛くなってきた」「何も信じられない」「生きるのがつらい」などということになりかねません。
胃の痛みや頭痛など出ていないことが前提ですが、その薬を心の拠り所とされているのならば、あえてそのまま続けてもらうことも必要ではないかなと思います。