薬剤師のチラシ裏

コロナワクチン接種後に帯状疱疹やヘルペスを発症する人がいるらしい。帯状疱疹後の神経痛には漢方薬が良く効く!

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新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が出ることもあるとかないとか。

コロナワクチン接種後の副反応としては発熱や倦怠感、頭痛が良く訴えとして聞かれる症状です。

ただ最近時々聞くのが、接種後に帯状疱疹を発症したという話。

van Damらはファイザーワクチン接種後に帯状疱疹を発症した2例を報告しており、その原因としてワクチン接種後に起こる一過性のリンパ球減少であると説明しています2)。新型コロナに感染したのちに70%の人にリンパ球減少が起こることを考えるとワクチン接種後にリンパ球減少が起こる可能性は当然あると述べており、実際そのようなことが確認されたとする報告もあります3)。また、その考察の中で、欧州EudraVigilanceデータベースによると、ファイザー製で4103例(1.3%)、モデルナ製で590例(0.7%)、アストラゼネカ製で2143例(0.6%)、ヤンセン製で 59例(0.3%)にワクチン接種後の帯状疱疹が認められたと引用しています。

コロナワクチン後に帯状疱疹が増える?? | 医療法人信岡会 菊池中央病院 | (ecnet.jp)

簡単にまとめると、コロナウイルスへの免疫を作る過程でリンパ球が減るので、そのときに帯状疱疹を発症する可能性があるということでしょうか。

帯状疱疹のウイルスは日本人の9割程度が元々持っているので、それが免疫の低下したタイミングで発症するというものです。

帯状疱疹の薬はいくつかありますが、ウイルスの数が増える前に服用するのが効果的と言われています。

放っておくと神経痛のような痛みが数年単位に渡って継続することもあり得ますので、早めに抗ウイルス剤を服用する必要があるでしょう。

抗ウイルス剤に関してはすべて処方箋の必要な薬のため受診が必要です。

尚、帯状疱疹に使われる飲み薬としては、ゾビラックス(成分名:アシクロビル)、バルトレックス(成分名:バラシクロビル)、ファムビル(成分名:ファムシクロビル)、アメナリーフ(成分名:アメナメビル)などが挙げられます。

どの薬でもワクチン接種後の服用は問題ありませんので、処方された場合は必ず飲み切るようにしましょう。

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帯状疱疹後の神経痛に治療

帯状疱疹後の治療では有名なロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)からメチコバール(成分名:メコバラミン)、ノイロトロピン(成分名:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液)といった薬や、リリカ(成分名:プレガバリン)やタリージェ(成分名:ミロガバリン)といった神経障害性疼痛を抑える薬を使います。

しかしながらこれらの薬は帯状疱疹の後の神経痛に対する効果としては十分でないことがほとんどです。

それだけ帯状疱疹による神経痛が後を引くということなんですね。

痛みがあるからと仮にレントゲンを撮っても異常は見られません。

他人から見るといたって普通にしか見えず、その辛さを理解してもらうのは難しいケースも。

帯状疱疹後の痛みには漢方がおすすめ

帯状疱疹後の神経痛の治療に関して記事が出ました。

処方の選択のフローチャートはこのような感じのようです。

こちらの記事では急性期には越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)と五苓散(ごれいさん)の併用が効果的と言われています。

ちなみに帯状疱疹の原因となるウイルスは温度を上げることで活動が抑えられ、症状が緩和される場合があります。

帯状疱疹の方の中にはお風呂に入ったりすることで痛みが楽になった覚えがある方もいるのではないでしょうか。

また、慢性期では『自発痛』と呼ばれる何もしなくても出る痛みと、『アロディニア』と呼ばれる何かに触れると出る痛みがあって、それぞれに対応した漢方を用います。

急性期慢性期
症状の出始め
症状が急に悪くなる時
症状の悪化がない時期
(症状が出なくなったときではない)

急性期と慢性期の違いですが、簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。

急性期は下り坂、慢性期は平らな道のようなイメージですね。

帯状疱疹の場合は最初の1~2週間が急性期、その後に慢性期に移行する印象です。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)+五苓散(ごれいさん)

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)

ツムラHPより引用

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)

腎臓の機能低下、関節の腫れや痛み、夜尿症、湿疹の治療に使用されます。
通常、浮腫と汗が出て小便不利のある人に用いられます。

五苓散(ごれいさん)

ツムラHPより引用

五苓散(ごれいさん)

むくみ、二日酔、下痢、悪心、嘔吐、めまい、頭痛の治療に使用されます。
通常、口渇、尿量が減少する人に用いられます。

実際の使い方

発症後7日~14日で症状が強くなっている場合(急性期)は越婢加朮湯、五苓散を抗ウイルス剤と併用します。

2日ほど服用しても症状が強くなる場合は黄連解毒湯を追加しましょう。

その後、症状が安定(慢性期)になってきたら自発痛かアロディニアかを判別した後に温めることで症状が改善するかどうかを確認して使用する漢方を選択してください。