
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の勉強会
最近良くテレビCMなどでも聞くようになった『逆流性食道炎』はご存知でしょうか。
胃酸の過剰分泌であったり、胃の機能異常によって胃から食道へ胃酸の逆流が起こり、炎症を引き起こす病気です。
逆流性食道炎に対してはプロトンポンプ阻害薬(以下PPI)は昔から使われているガスター(ファモチジン)やタガメット(シメチジン)のようなH2ブロッカーに取って代わり、10年ほど前からよく使われています。
そんなPPIの中でも最後発というか、最新のタケキャブ錠の勉強会に参加する機会があったので一般の方にも分かり易くまとめてみました。
タケキャブ錠(成分名:ボノプラザン)

カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれる種類の薬。
特徴としては以下を挙げることができます。
- 効果が出るまでが早い
- 使う人によって差が出にくい
- 胃酸に対して強い
・効果が出るまでが早い
他のPPIは血中濃度が安定して、効果が十分に出るまでに数日かかると言われています。
対してタケキャブは飲み始めてその日から効果を実感することができるとのことです。
・使う人によって差が出にくい
タケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)といったPPIは代謝酵素であるCYP2C19で代謝されますが、タケキャブはその関与が少なく、効果に個人差がでにくいと言われています。
・胃酸に対して強い
他のPPIは胃酸により失活するため、すべて腸溶錠など特殊製剤化されています。パリエットは分かりやすいですが、タケプロンODはピンクのツブツブが
腸溶性となっており、ネキシウムはカプセル自体は普通のものですが、中に腸溶性の顆粒が入っています。
これらをそのまま粉砕機にかけると、腸溶性の被膜が破壊され、胃酸に暴露されることで失活してしまうため使用はNGとなっています。逆に言うと、粉砕機にかけずに腸溶性の顆粒のみを取り出せば投与が可能と考えられますが、なかなかに面倒です。
タケキャブ錠は塩基性が強く、胃酸環境下においても安定です。そのため、他のPPI製剤で見られる腸溶製剤化はなく、これにより私個人としては粉砕調剤も可能と判断しています。(メーカーは粉砕を推奨していませんので、自己責任でお願いします)
まとめ
今までのPPIの出番がなくなりそうな勢いですね。
個人的にはPPIの粉砕調剤に難儀していたので、嬉しく思います。
ただ、この記事を書いている時点ではジェネリックが存在せず、薬価が高いことが難点ではありますが。