肌の露出が多くなってくる季節になってきましたね。
この季節になると良く聞くのが『痩せたい!』という切実な願望です。
サプリメントに関してはあまり明るくないため、医療用として使われる薬を紹介してみます。
サノレックス(成分名:マジンドール)
食欲中枢を抑制し、満腹中枢を刺激することで食欲を低下させます。
そのため、食事の前に飲まないと効果が期待できません。
サノレックスは依存性が確認されており、向精神薬3種の指定を受けている薬剤で、1回14日分までしか処方することができません。
また、投与日数は最大3か月間のみとなっています。
さらに、処方できる対象が厳格に定められており、BMIが35以上、肥満度が+70%以上の高度肥満の場合にのみ使用可能です。
BMIの計算は以下の通りです。
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
ちなみにBMI35は具体的な例を挙げると身長が160cmであれば体重は89.6kg以上となります。
効果としては、服用3か月後に食事摂取量が服用前と比べて約80%となっています。
防風通聖散
赤ら顔で皮下脂肪多め、便秘がちな人に合う漢方薬です。
グレリンと呼ばれる食欲を増進させるホルモンの分泌を抑えることで食欲を低下させる効果があります。
また、褐色脂肪細胞の働きを活発にして基礎代謝を上げる効果や、大腸を刺激して便通を促す効果もあります。
特に飲んですぐに効果を実感する人はこの便通によるところが大きいようです。
市販薬としてはナイシトールやコッコアポなどがあります。
GLP-1製剤(バイエッタなど)
インクレチンにはGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の2種類があります。
インスリン分泌作用はGLP-1が圧倒的に高く、食後のインスリン分泌の60%を担っています。また、注射で投与でき、安定であるという理由でGLP-1が積極的に製剤化されています。
GLP-1には以下の働きがあります。
- 血糖値に応じたインスリン分泌促進作用
- 血糖値に応じたグルカゴン分泌抑制作用
- 胃排泄能抑制作用
- 食欲抑制作用
この中の食欲抑制作用によって食欲を抑える効果が期待できます。
また、副作用として胃排泄能抑制作用によりむかつきが出てしまうこともあります。
現在、バイエッタ、ビデュリオン、ビクトーザ、リキスミア、トルリシティという名前で各社から販売されています。
基本的には糖尿病の治療に用いられますが、自費での診療にて処方されているクリニックもあります。
使用する際の注意としては、インスリン分泌が行われていることが前提です。
インスリン分泌が行われていない場合にインスリン製剤からGLP-1に切り替えてもインスリン分泌が行われないため高血糖を引き起こしかねません。
SGLT2阻害薬(スーグラなど)
SGLT(ナトリウム依存性グルコース輸送体)2阻害薬は尿の糖分の再吸収を抑え尿中の糖分を増やして体外排泄を促し、血糖値を下げる働きがあり糖尿病治療に使われています。
尿中の糖分が増えると浸透圧の傾きにより1日約200~400mLの尿量が増えます。
本来体内にあった糖分が排泄され、水分も一緒に排泄されるというこの作用によって体重が減少していくのです。
また、副作用として問題になるのが、尿中の糖分が増えることで尿路感染症のリスクが上がることです。
また尿量が増えることで頻尿になってしまう場合もありますが、尿路感染症の予防のためには水分摂取をこまめに行う必要があり、悩ましいところです。
以下に各薬剤の体重減少のデータを示します。
一般名 | イプラグリフロジン | ダパグリフロジン | ルセオグリフロジン | トホグリフロジン | カナグリフロジン | エンパグリフロジン |
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商品名 | スーグラ錠25mg・50mg | フォシーガ錠5mg・10mg | ルセフィ錠2.5mg・5mg | アプルウェイ錠20mgデベルザ錠20mg | カナグル錠100mg | ジャディアンス錠10mg・25mg |
投与量 | 50mg | 5mg | 2.5mg | 20mg | 100mg | 10mg |
平均 体重 減少量 | -3.41 kg | -2.58 kg | -2.68 kg | -3.06 kg | -2.96 kg | -3.07 kg |
まとめ
紹介した薬のうち、防風通聖散のみ自分の判断で購入することができます。
他の薬に関してはすべて処方箋が必要となってくる薬のため、試してみたいときは専門医へご相談ください。
尚、糖尿病の治療などを行う必要がなく、単純なダイエット目的であると自費での診療となりますのでご了承ください。