薬剤師のチラシ裏

ロキソニンは1日何錠まで飲んでも良いの?副作用の予防のために胃薬と一緒に飲んだ方が良い?

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ロキソニンに代表される解熱鎮痛剤はNSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれています。 有名であるが故に疑問を持つ人が多いと思いますので、良く聞かれる質問をまとめてみました。 ロキソニンと腎臓の機能に関しての記事はこちらを参照してください

https://pharmemo.com/?p=431

次から本題へ入ります。

ロキソニンは1日何錠まで飲んでも良い?

急性上気道炎、一般的に言われる風邪であれば1日最大180mg、つまり1日3錠まで服用できます。

その他、変形性膝関節症や歯科治療後など痛みを抑えたり、炎症を抑える目的で使用するときは1回2錠まで、1日量の制限の記載はありません。
ただし、効果時間を考慮して1日3回、最高用量は6錠までに留めておく方が無難です。

尚、上記の使い方は添付文書を参考にしており、医師の指示の元に使用が可能です。市販のロキソニンSを個人の判断で使用するときは少量とすべきでしょう。

市販されているロキソニンSの注意書きで『連用しないこと』という記載がありますが、これは症状を隠してしまうことで重大な異常の発見が遅れてしまう可能性を懸念しているためです。

頭痛に使うとき

市販のロキソニンSは頭痛に対して使用する人が一定数おられると思います。

とても良く効く薬で、愛用されている方も多いでしょう。

医療用のロキソニンの添付文書を見てもらうとお気づきになるかと思いますが、頭痛の記載がありません。

医療用ロキソニン添付文書

これはつまり、頭痛で受診しても保険適用内でロキソニンを処方してもらうことができないということです。

市販のロキソニンSの添付文書

市販のロキソニンSにはしっかり頭痛の記載がありますね。

薬剤性頭痛

頭痛に対して鎮痛薬を頻繁に使うことで『薬物乱用頭痛』を起こす可能性が示唆されています。

具体的には

・1か月に10回以上異なる鎮痛剤を使っている
・1か月に15回以上同じ鎮痛剤を使っている

これが3か月以上継続していると、薬物乱用頭痛と判断されることがあります。

薬物性乱用頭痛の原因は不明ですが、原因となっている薬を中止する必要がありますので、専門の医療機関の受診をお勧めします。

ロキソニンは胃薬と一緒に飲んだ方が良い?

NSAIDSを服用すると上図の様にプロスタグランジンの生成を抑えることで胃障害が誘発されます。

添付文書において『空腹時の投与は避けさせることが望ましい』という記載があります。

ロキソニンなどのNSAIDS単独で服用した場合の胃潰瘍発生頻度は10~15%、十二指腸潰瘍は3%と言われています。

また、胃潰瘍の原因の20~40%がNSAIDSによるものと言われています。ちなみに残りはヘリコバクターピロリ菌によるものと考えられています。

胃潰瘍の発現には投与期間もそうですが、投与量も大きく関わっていると考えられています。

併用する薬剤はムコスタなどで良いのか?

病院でロキソニンが処方されるときに、しばしばムコスタが一緒に処方されます。

『胃潰瘍の予防』として説明されますが、果たしてこれは本当に潰瘍予防に効果が期待できるのでしょうか。

ムコスタでは胃潰瘍の予防に対して効果不十分

薬事日報の記事ですが、以下のような臨床試験結果が出ています。
【NSAIDs潰瘍】防御因子増強剤の予防効果は不十分

要約すると

  • 防御因子増強薬を投与しても62%の患者で胃粘膜障害が発生
  • 4週間の併用で障害の程度を示すLANZAスコアがムコスタの場合は2.4→2.2、ガスターの場合は2.4→1.3

つまり、ムコスタ(成分名:レバミピド)に代表されるセルベックス(成分名:テプレノン)などの防御因子増強薬ではロキソニンなどのNSAIDSによる胃潰瘍を予防、治療することは困難だと思われます。

NSAIDSによる胃潰瘍を予防するためにはガスター(成分名:ファモチジン)などのH2ブロッカーやタケプロン(成分名:ランソプラゾール)などのPPIを併用することが胃潰瘍予防として有用と考えます。

ちなみに今更保険適用の話ですが、ムコスタにはNSAIDSの潰瘍予防の保険適用はありません。

ロキソニンは妊娠や授乳しているときは飲んではいけないの?

ロキソニンは女性でも生理痛や頭痛で常用している方も多く、それ故に妊娠や授乳に関しては質問の多い事項となっています。

妊娠中のロキソニン

妊娠中は時期により服用の可否が分かれます。

妊娠初期は神経管の形成があり、なるべく避けた方が良いと言われています。
フランスにおいてはNSAIDS全般が自然流産のリスクを高める可能性ありとされています。

妊娠中期は必要であれば使用することもあります。

妊娠末期と言われる8か月目、つまり予定日より12週以内の服用は胎児の動脈管が閉じてしまう可能性があるため、服用してはいけません。

授乳中のロキソニン

授乳中のロキソニンの服用は問題ないと考えられています。

ロキソニンは水溶性の薬剤であり母乳への移行性が低く、概算で母親が服用した量の70分の1より低い程度と考えられます。

逆に脂溶性の高い薬剤は母乳への移行性が高いため、乳児への影響を考慮する必要が出てきます。

比較的安全性の高い薬であると考えられますが、気になる場合は授乳前に最初の母乳は捨てたり、授乳した後にロキソニンを服用するといった配慮をしても良いでしょう。

胃に優しい解熱鎮痛剤

ロキソニンよりも副作用が少ない薬として、カロナールやアセトアミノフェンという名前で処方されています。

新型コロナウイルスのワクチン接種後の頭痛、発熱、倦怠感に対しても安全に使うことができる薬として推奨されています。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

コロナワクチン接種時の発熱対策にこの薬