目次
腎機能が低下する原因
要素 | 急性腎不全 | 慢性腎不全 |
---|---|---|
発症までの期間 | 数時間から数週間 | 数ヶ月から数年 |
腎機能低下の速度 | 脱水、ショック、薬物、手術、急速進行性糸球体腎炎、急性間質性腎炎など | 慢性腎不全:糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症など |
腎機能の可逆性 | 回復が期待できる | 回復が期待できない |
治療目標 | 腎機能の回復 | 腎機能のそれ以上の悪化を防ぐ |
出典:wikipedia急性腎不全
急性腎不全と慢性腎不全との違いは上記のようになっています。
最も異なるのは、腎機能が元に戻るかどうかということにあります。
急性腎不全は腎機能は回復することがほとんどですが、慢性腎不全では回復することはほとんどありません。
慢性腎不全は長年、腎臓に炎症が起こってきた結果とも言われています。
メタボリックシンドロームが慢性腎不全を引き起こす
内臓脂肪型肥満
内臓脂肪型肥満になると、アルブミン尿(タンパク尿)が出やすくなると言われています。アルブミン尿は糖尿病性腎症の指標でもあります。
また、肥満の人は高血糖や高血圧を併せて持っていることも多く、内臓脂肪型肥満を放置することは腎機能への大きな負担となります。
糖尿病
糖尿病は人工透析治療へいたる原因のトップです。人工透析を受ける患者の約4割は糖尿病から移行しています。
糖尿病性腎症と言われる高血糖による腎臓内血管の障害によって腎臓の機能の低下を引き起こします。
高血圧症
血圧が高いまま放置すると腎臓へのストレスが大きくなり、腎臓内血管を障害します。
腎臓のろ過機能の低下に伴い、腎臓へ流れ込む血液量が少なくなり、体液量が増加、さらなる血圧上昇を招くという負のスパイラルを引き起こします。
脂質異常症
動脈硬化が進むことで慢性腎不全を引き起こします。
逆に、慢性腎不全が脂質異常症を起こす場合もあります。
慢性腎不全により尿中にタンパクが漏れ出し、体は減ったタンパクを補うためにタンパクを合成します。その際に一緒に悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールも一緒に作ってしまうため、脂質異常症が起こってしまいます。
メタボリックシンドロームを治療することが慢性腎不全を予防することになる
上記のようにメタボリックシンドロームが慢性腎不全の発症へ与える影響は大変大きなものです。
食事に気を付けよう
内容も当然大切ですが、メタボリックシンドロームにおいてはその摂取カロリーも非常に大切です。
『減量』が必要であるため、腹八分目にするなど摂取カロリーには十分に注意してください。
運動を続けよう
摂取するカロリーを抑えるだけでは十分な減量は期待できません。
継続した運動を行うと筋肉量が増えます。筋肉量が増えることで消費できるカロリーも大きくなっていくため、より効果的に減量を行うことができます。
ストレスを溜めないように
メタボリックシンドロームの是正のために節制しすぎるとストレスとなります。
そのストレスの発散のために過度な飲酒や飲食を行ってしまうと、元の木阿弥となりかねません。
適度にストレスが発散できるよう趣味などを取り入れることも大切です。
腎臓の機能を保つための薬
ACE阻害薬
タナトリル(成分名:イミダプリル)、レニベース(成分名:エナラプリル)など
ARB
ミカルディス(成分名:テルミサルタン)、アバプロ・イルベタン(イルベサルタン)など
糸球体ではろ過を行うために、糸球体血圧は50mmHgを保つようになっています。
しかし腎血流量が低下してくると、その血圧を保つことができません。
糸球体血圧を50mmHgに保つために、アンジオテンシンⅡという物質が輸出細動脈を収縮させて、無理矢理糸球体血圧を上げようとします。
糸球体へかかる圧が高いほど糸球体は障害されやすく、このアンジオテンシンⅡを抑えることで腎保護作用が発揮されます。
スタチン系
リピトール(成分名:アトルバスタチン)など
CKDにおいては、心血管系の障害の抑制が非常に大切です。
そのひとつに脂質管理も挙げられています。
近年、大規模臨床試験においてアトルバスタチンによる腎機能の改善の報告があがってきています。
LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロールと呼ばれています。
eGFRは糸球体のろ過値を示しており、腎機能の指標とされています。
緩下剤
便秘によって尿毒素が蓄積されていくことが分かってきました。
ルビプロストンはアミティーザという名前で販売されています。
腸液の分泌を促す比較的新しい機序の薬です。
下剤であれば何でも良いというわけではなく、センノシドなどの刺激性下剤は腸壁への刺激が強く、細菌叢のバランスを崩してしまう恐れもあり、マグミットなどの塩類下剤は体液の電解質のバランスを崩す場合もあります。
SGLT-2阻害薬
フォシーガなど
元々は糖尿病薬として承認されていましたが、心疾患や腎臓の保護効果があることが分かり、現在では慢性腎不全への保険適用が認められている薬です。
尿細管でブドウ糖の再吸収を抑えることで体の外へ糖分を出す働きがあります。
服用開始からしばらくは一時的な腎機能の低下がみられることがあります。
まとめ
現在、CKDは潜在性の患者も含めると1100万人が罹患しているとも言われています。
CKDは放置しておくと予後が加速度的に悪化してしまいます。
CKDへ移行しない生活習慣が大変に重要です。
健康診断などでメタボリックシンドロームを指摘された場合は治療を行うなど、指導に従うようにしましょう。