新型コロナウイルスの流行によって、マスクの品薄が続いています。
薬局でも発注をかけても入荷がされません。
患者さんからは『マスクが手に入らないので、洗って使ってもいいの』という問い合わせを何度も頂いているので、使い捨てマスクの再利用に関してまとめてみました。
目次
使い捨てマスクは再利用には向いていません
出鼻を挫くようですが、そもそも使い捨てマスクは再利用する前提では作られていません。
フィルター機能が低下したり、清潔が保てなかったりとマスクとしての性能が担保されなくなる可能性もあるため、再利用は自己判断で行うようにしてください。
それでもマスクを再利用したいとき
それでは使い捨てマスクの再利用方法を検討していきます。
マスクの素材を確認してみる
従来からある使い捨てマスクのフィルター部分の材料はポリプロピレンや高密度ポリエチレンです。
尚、ポリオレフィンとはポリプロピレンやポリエチレンの総称です。
これを不織布としてフィルター機能を持たせたものにゴム紐を付けてマスクとしています。
プラスチックの種類 | 記号 | 融点(℃) | 耐熱温度(℃) |
ポリエチレン | PE | 低密度ポリエチレン:95から130、高密度ポリエチレン:120から140 | 低密度ポリエチレン:70~90℃、高密度ポリエチレン:90~110℃ |
ポリプロピレン | PP | 168℃ | 100~140℃ |
どちらも、化学的に安定していて、薬品にも強い素材です。
使い捨てマスクの洗浄方法は
先ずは使い捨てマスクの目に見える汚れを落とす必要があります。
洗濯機で洗うと、不織布の部分が毛羽立って不快感の元になったり、フィルター機能の極端な低下に繋がる可能性があるためあまりお勧めできません。
中性洗剤を使い、ぬるま湯で押し洗いがマスクの形状を保ちやすいと思われます。
使い捨てマスクの殺菌消毒の方法を考えてみる
綺麗になったマスクですが、眼に見えないウイルスが付着している可能性がありますので、消毒を行うとより良いでしょう。
新型コロナウイルスはエンベロープウイルスという膜に覆われたウイルスに分類されており、これは比較的熱に弱いウイルスとされています。
出典:イソジンHP
このエンベロープウイルスの消毒方法としては以下の方法が挙げられます。
- 熱湯消毒
- アルコール消毒
- グルタラール、次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨードなどによる消毒
この中でマスクに使えるのは『熱湯消毒』、『アルコール消毒』、『次亜塩素酸ナトリウム消毒』でしょうか。
使い捨てマスクの熱湯消毒
これは単純に鍋にお湯を沸かしてマスクを消毒すると良いでしょう。
80℃以上、10分以上で消毒します。
温度もそうですが、時間が短いと十分な消毒の効果が期待できません。
尚、アイロンやドライヤー、電子レンジなどによる加熱は水分が含まれず、ポリプロピレンの耐熱温度120℃や、さらには融解温度の168℃も超えてくる可能性があり、マスクへの使用は適しません。
使い捨てマスクのアルコール消毒
消毒用アルコールを乾燥させたマスクへ噴霧します。
濡れているとアルコールが薄められてしまい、十分な消毒効果が期待できませんので、必ず十分に乾燥させてから行いましょう。
アルコールが乾けば使用可能です。
使い捨てマスクの次亜塩素酸ナトリウム消毒
市販されている次亜塩素酸ナトリウムの濃度は様々です。
消毒に使うときの次亜塩素酸ナトリウムの濃度は0.05%を目安にしてください。
6%の製品であれば水3Lに対して製品を25mLを入れます。
マスクの漬け置きの時間は10分必要です。
次亜塩素酸ナトリウムは乾燥させると塩素は揮発されます。
ただし乾燥させた後に塩素の匂いが気になったり、肌の異常が見られる可能性があるため、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒後は水ですすぐことをお勧めします。
使い捨てマスクの再利用のまとめ
- 中性洗剤を使ってぬるま湯でマスクを押し洗いで洗浄
- 良く乾燥させましょう
- 各種消毒を行います
布マスクは何度も使用することが前提ですが、このご時世なので布マスクも手に入りにくい状況です。
使い捨てマスクの再利用はあくまで応急的な対応です。
明らかな毛羽立ちが見られるなどあれば廃棄するなど、自己責任にて行ってください。