こんにちは。この記事では、個人事業主の方が確定申告をする際に選べる2つの方法、白色申告と青色申告の違いについて分かりやすく説明します。
白色申告と青色申告の違いは、主に以下の3点です。
– 事前の申請の有無
– 帳簿の記帳方法
– 税金の節税効果
それぞれ詳しく見ていきましょう。
目次
事前の申請の有無
白色申告は、特に事前に税務署に届け出る必要はありません。開業届を出したら、その年の確定申告は自動的に白色申告になります。尚、開業届を出さなくても白色申告は行うことができます。
一方、青色申告は、税務署に「青色申告承認申請書」を提出して個人事業主として承認を受ける必要があります。この申請は、その年の3月15日までに行う必要があります。例えば、2023年分の確定申告で青色申告をする場合は、2024年3月15日までに申請を済ませる必要があります。
帳簿の記帳方法
白色申告と青色申告では、帳簿の記帳方法にも違いがあります。
白色申告は、簡易(単式)簿記でよいとされています。簡易(単式)簿記とは、現金や預金などの資金の動きだけを記録する方法です。現金出納帳や経費帳などを作成すれば十分です。
青色申告は、原則として複式簿記で帳簿をつけることが義務付けられています。複式簿記とは、資金だけでなく資産や負債などの増減も記録する方法です。仕訳帳や総勘定元帳などを作成する必要があります。
税金の節税効果
白色申告と青色申告では、税金の節税効果にも大きな違いがあります。
白色申告では、基本的に税制上の優遇措置はありません。しかし、青色申告では、以下のようなメリットがあります。
青色申告特別控除
青色申告を行うことで、所得から最大65万円(電子申告または電子帳簿保存をする場合)または10万円(それ以外の場合)を控除することができます。
青色事業専従者給与
配偶者や親族など事業専従者として働いている人に支払った給与を必要経費として算入することができます。
赤字3年間繰越
事業で赤字になった場合、その損失を翌年以降の3年間にわたって所得から控除することができます。
減価償却資産(30万円未満)の一括経費
– 事業用の資産で、取得価額が30万円未満のものは、一括で経費として計上することができます。
以上が、白色申告と青色申告の違いについての説明です。青色申告は、帳簿の記帳や申請の手間がかかりますが、税金の節税効果が高いというメリットがあります。白色申告は、帳簿の記帳や申請の手間が少ないですが、税金の節税効果は低いというデメリットがあります。
自分の事業の規模や状況に合わせて、どちらの方法を選ぶか検討してみましょう。
不動産投資が個人事業主として認められる基準
青色申告をするには個人事業主として認められる必要があります。
不動産事業とは、不動産の貸付けや売買などを行うことで収入を得ることです。不動産事業を行っている場合、その収入は不動産所得として所得税の対象になります。しかし、その不動産所得がどのように計算されるかは、その不動産事業が事業として認められるかどうかによって異なります。
事業として認められるかどうかの判断は、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによります。具体的には、以下の基準に当てはまる場合は原則として事業として認められます。
- 貸間、アパートなどについては、貸与できる独立した室数がおおむね10室以上であること
- 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること
- 駐車場の貸付けについては、おおむね50台以上であること
これらの基準を満たさなくても、賃貸料収入の大きさや経営状況などから事業的規模と判断される場合もあります。逆に、これらの基準を満たしていても、賃貸料収入が少なかったり経営が安定していなかったりする場合は事業的規模と判断されない場合もあります。
では、なぜ事業的規模かどうかが重要なのでしょうか。それは、事業的規模であれば、以下のような税務上のメリットがあるからです。
- 賃貸用固定資産の取壊しや除却などで発生した資産損失を全額必要経費にできる
- 賃貸料等の回収不能による貸倒損失を全額必要経費にできる
- 貸倒引当金を必要経費にできる
- 事業専従者控除や青色事業専従者給与を適用できる
- 青色申告特別控除を最大65万円受けられる
- 利子税を必要経費にできる
これらのメリットは、不動産所得の金額を減らすことができるため、所得税の負担を軽減することができます。また、不動産所得が赤字になった場合は、他の所得と相殺することができます。さらに、青色申告であれば、赤字の繰越控除もできます。
開業届は青色申告に必要ですか?
開業届とは、個人事業主として事業を始める際に、税務署に提出する書類です。開業届を提出することで、所得税や消費税の納税義務が発生します。開業届は、事業を始めた日から2ヶ月以内に提出する必要があります。
青色申告とは、個人事業主が所得税の申告をする際に、青色申告承認申請書を提出して、税務署から承認を受ける制度です。青色申告をすることで、経費の計上や損益通算などの税制上の優遇措置を受けることができます。青色申告をするためには、事業の収支を記録した青色申告用の帳簿を作成し、保存する必要があります。
では、開業届は青色申告に必要なのでしょうか?答えは「必要ではないが、推奨される」ということになります。開業届と青色申告は別々の制度であり、開業届を提出しなくても青色申告をすることは可能です。しかし、開業届を提出しない場合は、税務署から事業所得の課税対象者として認められない可能性があります。また、開業届を提出することで、税務署から青色申告用の帳簿や領収書などの資料を受け取ることができます。したがって、開業届は青色申告に必要ではありませんが、事業所得の確定や税務上の手続きをスムーズに行うためには、開業届を提出することが推奨されます。