薬剤師のチラシ裏

私ならこれを使う『現役薬剤師が選ぶ薬』症状に合わせたやさしい説明付き

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実際に使ってきた経験から、自分ならこれを使うであろう薬をピックアップしています。

基本的には処方箋でしか出せない薬なので、ドラッグストアなどでは手に入らず、医師の診察が必要となってきますのでその点はご承知ください。

同じ成分の市販薬があれば紹介していきます。

発熱・頭痛

カロナール(アセトアミノフェン)

とりあえず誰にでもどんな病気を持っていても使いやすい薬です。

小児への使用量は1回あたり体重に10を掛けた量が計算しやすいですね。

10kgなら1回100mg、20kgなら1回200mgという感じです。

最近ではコロナワクチン接種後の発熱に使われているイメージが強いのではないでしょうか。

肝臓での代謝で年齢を問わず、また相互作用も少ない上に使用できる量にもかなり幅があるので安心して使えます。

ちなみに痛みに使う場合の最高の量は1日4000mgです。

ロキソニン(ロキソプロフェン)

市販薬ではロキソニンSを始めとして、非常に有名な薬ですね。

私はカロナールが効かなければ飲みます。

NSAIDS(エヌセイズ)といわれるグループに所属する解熱鎮痛剤です。

吸収された後に代謝を受けてから効果を発揮するプロドラッグと言われる薬で、胃腸への負担は少なめですが、継続することで胃粘膜の障害が起きる可能性もあるので注意しましょう。

疼痛

ロキソニン(ロキソプロフェン)

再びロキソニンの登場です。

カロナールは痛みには効きにくいため、私は痛いときには初回からロキソニンを服用します。

手術や抜歯後は1回2錠までは飲んでも良い比較的安全な薬です。

メジコン(デキストロメトルファン)

オーソドックスな咳止め。通常の咳であれば効果が多少なりともある薬です。

完全に咳を止める必要はないので、ちょうど良い効き目のことが多いです。

人によっては眠気の出ることもあるので、注意すべきでしょう。

リン酸コデイン

メジコンで効かない場合に。前立腺肥大の場合は飲めなかったりしますが、咳止めの効果としてはトップクラス。

副作用による眠気と便秘が悩ましいところです。

喘息発作時は気管支などの分泌液が出にくくなるため、余計にひどくなる場合があります。喘息発作のときは飲まないようにしてください。

喘息

シムビコート

ステロイドと気管支拡張剤の合剤です。

パウダータイプで、他の薬とは異なるのが症状が強く出た場合に追加での吸入が可能な点です。

他の吸入薬であればメプチンエアーなどの補助薬が必要な場合でも、シムビコートであれば回数を調節することで効果が期待できます。

含まれるブデソニドは全身作用が少なく、比較的安全性の高いステロイドとして有名ですね。

フルティフォーム

噴霧タイプの吸入薬です。

効果の発現が早く、安定した治療効果が望めます。

海外では小児への使用や、発作時のリリーバーとしての役割もできるとのことで、今後の適用追加が期待されます。

個人的には最もお勧めできる吸入薬のひとつです。

鼻水

PL顆粒、PA配合錠

解熱剤とカフェインも一緒に入っているので睡眠に影響がある可能性。ただ、キレは良いのでとりあえず鼻水を止めたいときは飲んでみても良いかも。

前立腺肥大、緑内障の方は服用不可です。

小青竜湯

前立腺肥大、緑内障のある場合に使えます。

透明の水鼻に効果があります。

漢方は体に合わないと非常に不味く感じられるので漢方が体に合っているか、効果の有無のバロメーターにもなります。

花粉症

オノン(プランルカスト)

ロイコトリエン拮抗剤と呼ばれる抗アレルギー剤です。

即効性はありませんが、継続することで予防効果が発揮されます。

他のロイコトリエン拮抗剤よりも鼻症状に効果が高いと考えられています。

デザレックス(デスロラタジン)

クラリチンの光学異性体を取り出した薬です。

眠気が少なく、効果が上がっているいいとこどりの薬ですが、ジェネリックがまだ発売されておらず高いので二の足を踏むケースが後を絶ちません。

どうでもいいんですが、この成分名が中二病っぽくて個人的に大好きです。

胃痛

ガスター(ファモチジン)

ガスター10としても有名です。

吸収される前にも胃に直接効果があるので効果が早いです。

タケキャブ

PPIという枠組みで良いのか、新しい機序のPPIです。

今までのPPIとは違い効果には個人差がなく、安定した効果が期待できます。

ピロリ菌の除菌にはタケキャブを含むセット、ボノサップ、ボノピオンなどが除菌率が高くお勧めです。

発疹、痒み

デルモベート

最高ランク、ストロンゲストクラスのステロイドです。これで効かない症状はほぼありません。

マイザー(ジフルプレドナート)

内科の医師も良く処方される有名なステロイドです。

強さは上から2番目のベリーストロング。大体これより強いと顔には使いにくいと言われます。

リンデロンV

リンデロンVGが有名なので、その陰に隠れがちですがステロイド単独の塗り薬です。

強さは中間のストロングクラス。体全体に使える汎用性があります。

リドメックス

弱めのステロイドとして出されることが多いですが、感覚的にはストロングとマイルドの中間くらいです。

顔や赤ちゃんの少し強めの症状などに使いやすいです。

ロコイド

マイルドクラスのステロイドです。

顔や陰部などに使うことができます。

高コレステロール血症

クレストール(ロスバスタチン)

国産のストロングスタチンです。

横紋筋融解症の発生頻度が低く、しっかりとLDLの減少効果が期待できます。

高血圧

アジルバ(アジルサルタン)

ほかのARBに比べてキレの良いARBです。

ARBは塩分摂取の多い日本人に効果が高いと考えられています。

慢性腎臓病(CKD)

リピトール(アトルバスタチン)

コレステロールが高いと腎機能が低下することが分かっています。

スタチン系の中でもリピトールは腎機能改善効果が研究で確認された数少ない薬です。

アバプロ、イルベタン(イルベサルタン)

ARBと呼ばれる降圧剤です。

心臓、腎臓、脳に対する臓器保護作用が確認された薬です。

長時間作用するので1日1回で効果が期待できます。

アダラート(ニフェジピン)

カルシウム拮抗剤と呼ばれる降圧剤です。主にCR錠が使われます。

アバプロもそうですが、降圧剤は血圧を下げることで腎臓への負担を下げる目的があります。

アダラートは特に腎臓から出ていく血管を拡げることで腎臓への圧力を下げ、腎臓を保護する効果が期待できます。

フォシーガ(ダパグリフロジン)

尿からのブドウ糖の再吸収を抑える薬です。

尿からブドウ糖の再吸収を抑えると、尿として出ていくブドウ糖が増えるので、結果体内の血糖が下がります。

高血糖は腎臓への悪影響がある状態なので下げるのは腎臓へ良い影響を与えますが、この薬は糖尿病でなくても腎機能の改善効果が期待できるとされています。

トイレが近くなることも多く、尿に糖分を排泄する関係で膀胱炎を起こすこともあるので注意が必要です。

しっかり水分は取りましょう。