薬剤師のチラシ裏

緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン処方解禁!薬局で売っているの?

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緊急避妊薬(アフターピル)とは

緊急避妊薬(アフターピル)は女性ホルモン(主に黄体ホルモン)が有効成分として含まれており、排卵を遅らせて、子宮内膜への着床を防ぐことで避妊効果を期待する薬です。モーニングアフターピルと呼ばれることもあります。

性交渉後72時間以内に服用することで80%程度で避妊することができます。

良く聞く『ピル』は主に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが低用量で含まれている『低用量ピル』と呼ばれる薬で、月経異常などにホルモンバランスを整える目的で使われています。

過去にプラノバールという中用量ピルをアフターピルとして使用していた時期がありますが、現在はほぼ使用されることはありません。
日本で緊急避妊薬として承認されているのはノルレボ錠とそのジェネリックのノルレボストレルだけです。
尚、処方に際しては自費診療となり、ノルレボ錠であれば負担金額は1万~1.5万円程度となります。

またノルレボ錠1回分に含まれるホルモン量は低用量ピルの約22日分に相当します。
それにより急激に体内のホルモン量を増やすため、頭痛、倦怠感、むかつきなど体調が急に変わることもあり得ます。
アフターピルは毎日飲むものではなく、必要時のみ服用します。

オンライン処方だけの解禁(※条件アリ)

実際は女性が診察を受ける側ですね

令和元年5月31日に厚労省は緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン処方を認める方針を決めました。

近くに病院がある場合や、性犯罪に巻き込まれて対人恐怖がある場合のみに適用されるとのことです。

処方してもらえるケースが大変に限定されてしまうのですが、厚労省はそれを意図しての方針のようですね。

ちなみに海外では薬局で各個人が自由に購入することができます。日本でそれを認めてしまうと必要のないケースであっても濫用されてしまうとの懸念を持っているようです。

今回のオンライン処方の問題点

性犯罪に巻き込まれた女性が警察に通報や相談を行ったのは全体の2.8%との調査結果が平成29年の内閣府調査で出ています。ただでさえ少ない数字だと思うのですが、おそらくこの調査にさえ報告されていない事件がかなりの件数隠されていると思われます。

性犯罪へ巻き込まれたと自分から申し出ることに、どれほど強い意志と勇気が必要になるのでしょうか。

この状況を鑑みたときに、アフターピルを処方してもらうことへの異常な敷居の高さを感じずにいられません。

海外のように薬局で販売しても良いのでは?

濫用に関しては十分な指導を行うことで予防することができるのではないでしょうか。

しかし、現在は薬の名前を知っているだけというレベルの薬剤師もチラホラ居ます。実際、ピルへの知識は不十分と言わざるを得ません。
今後は薬剤師の教育と、薬局での販売に関する制度も整えることも課題と言えそうです。

防ぐことのできる濫用よりも性犯罪被害者への救いとして十分な効果のあるアフターピルを広く認めるべきだと考えます。