感染症

芋焼酎で傷口の消毒はダメ。ならウイスキーは?そもそもアルコール消毒は正しいの?中国では新型コロナウイルスに使い始めたようです。

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令和2年1月末頃からこちらのページへのアクセスが急増中です。
おそらくは新型コロナウイルス関連かと思いますので追記しておきます。

焼酎は中国での新型コロナウイルス対策となるか

早々に結論:焼酎では新型コロナウイルス対策にはなりません。

現在マスクだけでなく、消毒用アルコールも不足している中国においては焼酎やウイスキー、ウォッカなども品薄となりつつあるようです。

おそらくは消毒用として使用するつもりでしょう。多分本気です。

詳しくは記事内にで解説していますが、焼酎だけでなく、飲用されるアルコール全般ではアルコール濃度が圧倒的に足りません。

新型コロナウイルスに有効とされているのは入手しやすいものとしてアルコール消毒が挙げられています。
尚、塩化ベンザルコニウムでの有効性は不明となっています。

 

抗インフルエンザ治療薬のアビガン錠200mgは国が備蓄。新型コロナウイルスの特効薬となりうるのか。タミフルやゾフルーザとの違いも解説    新型コロナウイルスへの対策として国に備蓄されている『アビガン』の使用が視野に入ってきました。 ...

 

以下は元々の記事です。



焼酎を口に含んで傷口へブシャー

時代劇やドラマなどで見たことがある方もいるかもしれません。

口いっぱいに含んだ焼酎を口から霧状にして傷口へ噴射!

「これで大丈夫!」

本当に大丈夫なんでしょうか?

アルコールとは

焼酎をはじめ、全ての『酒』に含まれているのがアルコールです。

化学的にアルコールとは炭化水素の水素原子をOH基で置き換えたものです。

出典:wikipedia

化学構造式で書くとこんな感じです。
左からメタノール、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコールと呼ばれています。

これらはすべてアルコールの仲間ですが、一般的に通用している『アルコール』は左から2番目の第一級アルコールに属する『エタノール』を意味しています。

出典:wikipedia(エタノール)https://pharmemo.com/?p=1631

エタノールによる消毒の効果は

エタノールには消毒効果があることは広く知られています。

お酒にはアルコール度数という表記があって、お酒の強さを表しています。
同じく、消毒で使われているエタノールにも濃度の表記がされているのはご存知でしょうか。

消毒用エタノールは76.9~81.4vol%、エタノールは95.1~96.9vol%、無水エタノールは99.5vol%以上のエタノールを含むものと定義されています。ちなみに100vol%まで残りは水です。

特に、消毒用エタノールに関しては、この濃度の範囲でないと即時消毒の効果が得られないとい言われています。

低濃度エタノールを用いても消毒効果を得られるというレポートも出ていますが、長時間の接触、密封が必要なようです。

このページでは濃度の単位を厳密に表記しています。

体積濃度(vol%) …mlなどで量り取った場合

重量濃度(w/w%)…gなどで量り取った場合

 

アルコールで殺菌消毒ができる理由は

アルコールで殺菌消毒ができる理由は複数あります。

  • 細胞膜の脂質を溶かす
  • タンパク質を変性させて機能を失わせる
  • 細胞の水分を脱水させる

これらの単独、もしくは複合的な作用によって殺菌消毒の効果が期待できます。

アルコール消毒が76.9~81.4vol%である理由

アルコールの消毒作用には分子の数が関係しています。

分かりやすくモルで計算していきましょう。

先ず、76.9~81.4vol%は体積比(mL)での濃度ですが、質量比(g)の濃度に換算した場合には約70w/w%となります。

次にアルコール、いわゆるエタノールC2H5OHの分子量は約46、水H2Oの分子量は約18です。

消毒用アルコール全体を100gとした場合、含まれるモル数としては以下の計算で求められます。

エタノール 70÷46≒1.52モル
水 30÷18≒1.67モル

これはほぼ同じ数値と見て良いでしょう。

これは消毒用アルコール内にはエタノール分子に対して水分子が1:1で含まれていることを示しています。

エタノール:水が1:1で含まれていることで、細胞膜に平面に配列されていきます。このときエタノールは海面活性剤として働き、これにより細胞膜表面の表面張力を失わせ、凸凹になった細胞膜から内部にエタノールが簡単に侵入することができます。

濃度が100%の場合、細胞膜からアルコールが侵入できないため消毒の効果は
表面のタンパク質を変性させて機能を失わせる程度で限定的であると考えられます。

口から吹きかける焼酎に消毒効果はあるの?

前置きですが、商品によって表現の違いがありアルコール度数=体積濃度パーセンテージ(vol%)です。

国内で一般で流通している焼酎の濃度は25~30vol%です。
最高でも泡盛の60vol%がありますが、消毒用の76.9~81.4vol%には遠く及びません。

これは35度の芋焼酎では消毒効果が無いことを示しています。
尚、麦焼酎であっても効果はありません。

また、口に含む行為を挟むことで、口腔内の雑菌が傷口へ侵入する可能性もあり、傷口に対しては悪影響しかありません。

消毒に使えそうなお酒はあるの?

せっかくなのでアルコール濃度が76.9~81.4vol%のお酒を探してみました。

1つ目は、77度のカロニー・オールドヴィンテージラムというイタリアのお酒です。
2つ目は80度のストロー80オリジナルというオーストリアのお酒です。

国産であればドーバースピリッツ88というお酒が88vol%、また、最高の度数を持つことで有名なスピリタスは96vol%で非常に高濃度のアルコールを含みますが、濃度が高すぎても消毒の効果が期待できません。
また、アルコール以外の糖分などの不純物を含むため、消毒には向かないと考えられます。



そもそもアルコールは傷口へ使ってもいいの?

アルコールに限らず、消毒して傷口が痛むのは消毒効果があるものだと考えられてきました。

しかし、ここ最近になって分かってきたことがあります。
傷口では細胞が傷口を塞ごうと細胞分裂を繰り返し頑張っています。そこへ消毒薬をかけると、何のバリアも持たない細胞は他の細菌と同様に死滅します。
傷口に消毒用アルコールをかけたときの染みるような痛みは、細胞が死滅している痛みであるようです。

つまり、傷口に消毒薬を付けることで傷の治りが遅くなり、綺麗には修復されないことが分かっています。

焼酎を消毒用として使うことは正しいのか

焼酎では消毒効果がなく、口からの噴射はむしろ感染を助長する嫌がらせのような行為だったようです。

一部の高濃度のお酒であれば消毒効果が期待できますが、アルコール以外の糖分などの不純物を含むため、消毒には向かないと考えられますし、わざわざ入手する手間を考えると現実的ではありません。

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