ここ数カ月、以前にも増して薬の欠品が目立ってきました
発注をかけても
『入荷未定です』
『長期欠品です』
こんな連絡をどの医薬品卸からも頂きます。
というか、欠品連絡の無い日はありません。
目次
発端は日医工と小林化工
2020年の4月位に日医工、小林化工が続け様に行政処分を受けました。
日医工は申請している製造工程と異なる製造工程での医薬品の製造が行われていたこと、小林化工は水虫の薬に睡眠薬が大量に含まれていたことです。
尚、小林化工はオリックスの子会社で、他社の製品の製造を受け持つOEMという側面もありました。
日医工が後発医薬品では大手だった
日医工はジェネリックメーカーとして有名です。
他の医薬品メーカーをM&Aなどで吸収・合併を繰り返し、その規模を加速度的に拡げていきました。
その他、大手と言われるジェネリックメーカーとしては沢井薬品、東和薬品が挙げられます。
当然、日医工の製品を採用していた医療機関も多かったと思います。
日医工がこけて他のメーカーに注文が殺到
日医工が業務停止命令を受けたことが発端で、多数の医薬品の供給が止まりました。
ですが治療は止めるわけにもいかないので、他のメーカーへ注文が殺到します。
今まで日医工ありきで製造計画を立てていた他のメーカーでは急に製造量を増やすこともできないので、欠品へ陥ります。
ジェネリックの供給不足が先発品にも波及
ジェネリック医薬品が欠品を起こすと、今度は同一成分の先発医薬品の注文が増加します。
当然ですが、これによって先発医薬品の欠品も引き起こされることになります。
類似薬にも波及
ジェネリック医薬品、先発医薬品も欠品となると、今度は類似薬への変更を余儀なくされます。
薬を完全に中止していまうというのは不可能であり、何とか治療を継続するための苦肉の策というところでしょうか。
具体的な例を挙げると、ランソプラゾールOD錠15mgは各社からジェネリックが発売されていますが、AGであるランソプラゾールOD錠15mg「武田テバ」でさえ出荷調整が行われ、先発医薬品であるタケプロンOD錠15mgまでも出荷調整が行われることになっています。
十分量が供給されなくなったため、類似薬である他のPPIのラベプラゾールやオメプラゾールへの切り替えが行われていますが、それさえも十分量が確保できない状況にあります。
最終的にはタケキャブやネキシウムへ行き着くことも多いのですが、発売から日が浅いこともあってジェネリックが発売されていません。
そのため、薬価もまだ高価であり、負担金が明らかに上がってしまうことになります。
薬の供給不足によるクレーム一覧
「どうして違う薬になるの?いつもの薬じゃないと嫌」
異なるメーカーの薬を見せて、今日はこちらでお渡しでも良いですかと聞くも、上記の弁。
どう頑張っても入荷されないことを説明しても理解頂けません。
どうしても同じものをと仰るなら、入荷を待っていただくことになりますがと言うと「手持ちがないから待てない」とのこと。
最終的に「もう他に行く!」と出て行かれましたが、どうなったのでしょうか。
「高くなるならそっちが負担しろ」
ジェネリックが入らずに先発品へ変更せざるを得ないときに、代金を試算してみると今までよりも上がってしまうことが判明。というか値段が上がってしまうのは当たり前なんですが。
代金がいつもより上がってしまうことを説明すると
「自分はジェネリックを希望しているのに、そちらの都合で支払うお金が上がるのは納得できない。どうしてもと言うなら差額をそちらで負担しろ」
当然そんなことはできないので、その旨を伝えるも一向に聞き入れず。
どうにもならないので医師に連絡し、他のジェネリックのある薬へ変更してもらいとりあえずは解決。
「日医工が嫌」
テレビで日医工という会社がダメという情報だけを理解した患者さんが、
「今まで飲んでいる薬が日医工だった。飲みたくないから返金してくれ」
もちろん一度渡した薬は返金での対応はできない旨を伝えたものの、
「自分はジェネリックのメーカーを選ばせてもらった覚えはない。そちらの責任だろう!」
と全く引かず。
医師に連絡して服用分のみの日数へ処方を変更してもらい、差額を返金して対応となりました。