薬局で時々見る光景
「今日はどうされましたか?」
「血圧はいくつでした?」
薬局を利用した方であれば一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。
それに対して
「面倒だな・・・」
「医者に伝えているのになぜこちらで言わないといけないの?」
と思った方も多いと思います。
少々過激な方は
「お前らは医者の書いた通りに出せばいいんだ!」
暴言にも似た勢いで怒鳴る方も稀に。
なぜ薬局で体調などを聞くのか?
薬局でも薬剤師は患者ごとに個別の薬剤服用歴管理記録(病院で言うところのカルテ)に処方の内容と指導した内容の記録を必ず 残す必要があります。
これがあるからこそ保険調剤が保険適用でいられるといっても過言ではありません。
極端な話、薬剤服用歴管理記録が作られない場合、保険に則った調剤はされず、全額自費となる可能性も出てきます。
また薬剤師の擁護ではありませんが、そもそも他人の症状なんて知りたくもないですよね。
症状に対する処方が正しいかどうかの確認が仕事なので、聞き取りを行っているのです。
その上で処方された内容に疑問点が生じた場合には、処方した医師に疑義照会をかける義務が発生してくるのです。
疑義照会ってなに?
疑義…疑問点
照会…問い合わせ
簡単に言うとこんな感じでしょうか。
患者から聞いた内容や、薬剤服用歴管理記録の内容を元に薬剤師が判断し、医師へ疑義照会を行います。
それにより正しい用法、効果的な薬へ変更を行い、治療の助けとなっています。
薬剤師が薬学的知識を生かして疑義照会を行った結果、7割で処方変更がなされ、仮に疑義照会が行われていなければ2割で患者に健康被害が、3割で医師の意図通りの薬効が得られないなど、薬物療法への悪影響が推測されるとの調査結果がまとまった。
薬事日報HPより引用
結構な割合だと思うのですが、いかがでしょうか。
ちなみに疑義照会のやり方に関しては以前から様々な意見があります。
- 患者へ何も伝えずに医師へ連絡するケース
- 患者へは内容は伏せて、医師へ確認するとだけ伝えるケース
- 患者へ全て伝えてから医師へ連絡するケース
どれが正解ということはないと思います。
医師へ連絡することに拒否感を示す方もいますし、細かく内容を伝えることで患者から医師への信頼が揺らいでしまう可能性もあります。
ただ、薬局というのは医療を提供する場所でありますが、サービス業でもあり、疑義照会を行っている間の待ち時間への対応は必須と言えるでしょう。
このこともあり、個人的には治療へ影響を及ぼさない程度には疑義照会の内容を伝るように心がけています。
個人的には症状は聞かないスタンス
症状を聞いたり、血圧を聞いたりしている薬剤師を見るしてたびに感心してしまいます。
その日の血圧を聞いて一体どうしたいのか、私にはいまだに分かりません。
症状を聞かれるのが嫌だと言う人がいても、好きだという人はほぼいないでしょう。
私は薬の飲み方や効果は説明しますが、どうしても必要な場合を除き、相手の症状は一切確認しません。
薬の効果を説明していて、『自分の症状に対する薬ではない』と思ったら、患者側から何かしらのアプローチがあるものです。
どのようなやり方が正しいのかは私には分かりませんが、『患者に不利益がないように』というのは薬剤師の共通の理念であることには間違いありません。